定番歪みエフェクターTube Screamer Miniの激安コピー品に、クリッピングダイオードmodをブチこんでみる話—前編—

こんにちは、今回も音響機材ネタです。

先日、安い歪(ひず)みエフェクターを買いました。

KOKKOというブランドの、Miniサイズのオーバードライブです。

お値段はなんと2,000円ちょっと。後述しますが、元ネタと思われる、IbanezのTube Screamer Miniの定価は9,000円なので、これはめっちゃ安いです!

www.ibanez.com

あ、そもそも歪みエフェクターっていうのは、もともと「ポロローン」と鳴るギターの音を「ジャーン」とか「ギャーン」とか、かっこよく歪んだ音に変える装置のことです。

歪みエフェクターには大別して「オーバードライブ」「ディストーション」「ファズ」の3種類があって、だいたい後者ほど歪みがエグくなります。

info.shimamura.co.jp

そういうわけで、今回買ったのは、比較的マイルドな歪みエフェクターです。

mod(modification)って?

ところで、エフェクター界隈には「mod」といって、回路の部品を取り替えたりして、音色の変化を楽しむ文化があります。

とくに歪みエフェクターは、改造しやすい回路のものが多いので、少し検索すればたくさんのmod例が見つかります。

www.google.co.jp

チューブスクリーマーの場合はというと、心臓部であるオペアンプの換装とか、歪みを作るためのクリッピングダイオードの交換なんかが有名なようです。

mykeita.blog59.fc2.com

改造できるものは改造してみたい、そう思うのは自然な流れですよね?

というわけで今回は、比較的音の変化がわかりやすそうな、クリッピングダイオードの交換に挑戦してみたいと思います。

クリッピングダイオードって?

元々のギターの音の波形は、曲線的な形ですが、その上下を削って、角張った形にすると歪んだ音になります。

クリッピングダイオードは、ダイオードという電子部品のもつ性質を利用して、波の上下を削る回路のことです。

使うダイオードの種類や、並べる組み合わせを変えることで、歪みの音色を色々と変えられるようです、おもしろそうですね。

非対称クリッピングmodって?

なかでも、同じ種類のダイオードを2本使うタイプを「対称クリッピング」、種類や本数を変えるタイプを「非対称クリッピング」といって、非対称は真空管に似た歪みになるとか。

さっきのリンク先「The Ultimate Tube Screamer Mod Guide」でオススメされていた「Tubescreamer on steroids modification」は、片側がシリコンダイオード、もう片側にゲルマニウムダイオード×6本を使う非対称クリッピングです。

ステロイド(筋肉増強剤)なんて、どんなサウンドになるんだろう?

とりあえず、これを参考にして改造してみましょう。

まあ、せっかくなので、ついでに色々実験してみて、好みの音色を探してみたいと思います。

まずは分解してみる

ネジが滑り止めのゴムの下に隠れているので、めくりながらチョイチョイっと回してあげれば、かんたんに分解できます。

基板はなかなかクオリティが高い印象です。 ピンヘッダー接続の2段構造になっていて、下層が電源&ジャック&スイッチ、上層がエフェクト回路のようですね。

ソケットが増えると音痩せするという噂もあるので、上下層の接続をピンヘッダーから配線に変更してしまう改造もアリかもしれません。

基板には「NUX」のロゴが入っていました、中身はこれと同じものなのかな?

OPアンプはJRC4558でした。

回路図も入手しておく

改造箇所を確認するために、回路図を入手しておきましょう。

チューブスクリーマーには、いくつかのバージョンがあるようですが、今回はオリジナルサウンドを再現するとかじゃないので、大体の構成が把握できればOKです。

「tubescreamer schematic」とかで画像検索すると、たくさん見つかるので、見やすいものを使うとよいでしょう。

回路の詳しい解説を載せてくれている、親切なページがあったので、これを参考にさせてもらいます。

www.electrosmash.com

チューブスクリーマーの最初のモデル、TS808の回路図です。

これはどうやらTS808コピーらしい

基板と回路図を見比べると、だいたい一致してそうなので、チューブスクリーマーのコピーであることは間違いなさそうです。

さらに、出力部のカップリングコンデンサー前後の抵抗が、100Ωと10kΩならTS808、470Ωと100kΩならTS9だそうです。

この基板でそれに当てはまるR15とR19を確認すると…これはTS808のコピー品ですね。

抵抗値を変更した経緯は、開発者のインタビューで語られていました。 音作りのためというわけではなく、回路設計を慣例に合わせ見直したということのようです。 www.cult-pedals.com

目的のダイオードを探す

つぎは改造のターゲット探しです。回路図で確認すると、クリッピングダイオードはGAINノブの近くにあります。 この、D2とD3がそれですね。

ダイオードには「T4」と刻印されていました。調べてみると、どうやら小信号用の汎用ダイオード「1N4148」のチップ版のようです。

akizukidenshi.com

実験の準備

いろいろ組み合わせを試してみたいので、ブレッドボードで実験できるように改造を施します。

ソケットとかブレッドボードを使うのも、音痩せの原因になるようですが、実験用なのでとりあえず良しとします。

チップダイオードを外して。

ワイヤーを取り付けて。

ピンヘッダーを取り付け、ブレッドボードにつなぎます。

これで実験の準備は完了です。

色々なダイオード

実験に使うダイオードは、秋月電子で買いました。

1N4148

(写真右)取り外したダイオードのリード部品版、汎用のシリコンダイオード。

1N60(Ge)

(写真中)ゲルマニウムダイオード、主な用途はラジオの検波用らしい。 生産終了しているので、手に入るのはデッドストック品。

1N60

(写真左)1N60のシリコン版です。 検波用としては代替になるが、エフェクター用としては別物だそうな。

ついでに、ジャンク箱からLEDを数種類。

続きはまた次回

もう少しかかりそうなので、今回はここまで。

次回は実際に音出しをして、取り付けるダイオードを決め、mod切り替えスイッチも増設してみようと思います。