こんにちは、今回も音響機材ネタです。
先日、安い歪(ひず)みエフェクターを買いました。
KOKKOというブランドの、Miniサイズのオーバードライブです。
お値段はなんと2,000円ちょっと。後述しますが、元ネタと思われる、IbanezのTube Screamer Miniの定価は9,000円なので、これはめっちゃ安いです!
あ、そもそも歪みエフェクターっていうのは、もともと「ポロローン」と鳴るギターの音を「ジャーン」とか「ギャーン」とか、かっこよく歪んだ音に変える装置のことです。
歪みエフェクターには大別して「オーバードライブ」「ディストーション」「ファズ」の3種類があって、だいたい後者ほど歪みがエグくなります。
そういうわけで、今回買ったのは、比較的マイルドな歪みエフェクターです。
mod(modification)って?
ところで、エフェクター界隈には「mod」といって、回路の部品を取り替えたりして、音色の変化を楽しむ文化があります。
とくに歪みエフェクターは、改造しやすい回路のものが多いので、少し検索すればたくさんのmod例が見つかります。
チューブスクリーマーの場合はというと、心臓部であるオペアンプの換装とか、歪みを作るためのクリッピングダイオードの交換なんかが有名なようです。
改造できるものは改造してみたい、そう思うのは自然な流れですよね?
というわけで今回は、比較的音の変化がわかりやすそうな、クリッピングダイオードの交換に挑戦してみたいと思います。
- mod(modification)って?
- クリッピングダイオードって?
- 非対称クリッピングmodって?
- まずは分解してみる
- 回路図も入手しておく
- これはどうやらTS808コピーらしい
- 目的のダイオードを探す
- 実験の準備
- 色々なダイオード
- 続きはまた次回
クリッピングダイオードって?
元々のギターの音の波形は、曲線的な形ですが、その上下を削って、角張った形にすると歪んだ音になります。
クリッピングダイオードは、ダイオードという電子部品のもつ性質を利用して、波の上下を削る回路のことです。
使うダイオードの種類や、並べる組み合わせを変えることで、歪みの音色を色々と変えられるようです、おもしろそうですね。
非対称クリッピングmodって?
なかでも、同じ種類のダイオードを2本使うタイプを「対称クリッピング」、種類や本数を変えるタイプを「非対称クリッピング」といって、非対称は真空管に似た歪みになるとか。
さっきのリンク先「The Ultimate Tube Screamer Mod Guide」でオススメされていた「Tubescreamer on steroids modification」は、片側がシリコンダイオード、もう片側にゲルマニウムダイオード×6本を使う非対称クリッピングです。
ステロイド(筋肉増強剤)なんて、どんなサウンドになるんだろう?
とりあえず、これを参考にして改造してみましょう。
まあ、せっかくなので、ついでに色々実験してみて、好みの音色を探してみたいと思います。
まずは分解してみる
ネジが滑り止めのゴムの下に隠れているので、めくりながらチョイチョイっと回してあげれば、かんたんに分解できます。
基板はなかなかクオリティが高い印象です。 ピンヘッダー接続の2段構造になっていて、下層が電源&ジャック&スイッチ、上層がエフェクト回路のようですね。
ソケットが増えると音痩せするという噂もあるので、上下層の接続をピンヘッダーから配線に変更してしまう改造もアリかもしれません。
基板には「NUX」のロゴが入っていました、中身はこれと同じものなのかな?
回路図も入手しておく
改造箇所を確認するために、回路図を入手しておきましょう。
チューブスクリーマーには、いくつかのバージョンがあるようですが、今回はオリジナルサウンドを再現するとかじゃないので、大体の構成が把握できればOKです。
「tubescreamer schematic」とかで画像検索すると、たくさん見つかるので、見やすいものを使うとよいでしょう。
回路の詳しい解説を載せてくれている、親切なページがあったので、これを参考にさせてもらいます。
チューブスクリーマーの最初のモデル、TS808の回路図です。
これはどうやらTS808コピーらしい
基板と回路図を見比べると、だいたい一致してそうなので、チューブスクリーマーのコピーであることは間違いなさそうです。
さらに、出力部のカップリングコンデンサー前後の抵抗が、100Ωと10kΩならTS808、470Ωと100kΩならTS9だそうです。
この基板でそれに当てはまるR15とR19を確認すると…これはTS808のコピー品ですね。
抵抗値を変更した経緯は、開発者のインタビューで語られていました。 音作りのためというわけではなく、回路設計を慣例に合わせ見直したということのようです。 www.cult-pedals.com
目的のダイオードを探す
つぎは改造のターゲット探しです。回路図で確認すると、クリッピングダイオードはGAINノブの近くにあります。 この、D2とD3がそれですね。
ダイオードには「T4」と刻印されていました。調べてみると、どうやら小信号用の汎用ダイオード「1N4148」のチップ版のようです。
実験の準備
いろいろ組み合わせを試してみたいので、ブレッドボードで実験できるように改造を施します。
ソケットとかブレッドボードを使うのも、音痩せの原因になるようですが、実験用なのでとりあえず良しとします。
これで実験の準備は完了です。
色々なダイオード
実験に使うダイオードは、秋月電子で買いました。
1N4148
(写真右)取り外したダイオードのリード部品版、汎用のシリコンダイオード。
1N60(Ge)
(写真中)ゲルマニウムダイオード、主な用途はラジオの検波用らしい。 生産終了しているので、手に入るのはデッドストック品。
1N60
(写真左)1N60のシリコン版です。 検波用としては代替になるが、エフェクター用としては別物だそうな。
ついでに、ジャンク箱からLEDを数種類。
続きはまた次回
もう少しかかりそうなので、今回はここまで。
次回は実際に音出しをして、取り付けるダイオードを決め、mod切り替えスイッチも増設してみようと思います。