さて、トランジスタが発明される以前、アンプの増幅素子には、真空管というものが使われていました。
この、まるで工芸品のような、緻密な金属構造の収まったガラス球が真空管です。
こんな一見電球のような部品に音楽が流れ込むと、それが電気で増幅されてスピーカーを鳴らすだなんて、なんだかとってもロマンじゃないですか?
電気・電子工作を嗜む少年少女ならば、一度は憧れるマスターピースのひとつです。
今回は、Aliexpressで見つけた安い真空管アンプのキットを組み立ててみたので、その話をしようと思います。
真空管とは?
KORGのNUTUBEのページの解説がとてもわかりやすいです。
6N3バッファプリアンプキット
買ったのはこのキットです。
真空管アンプって高級品のイメージがありましたが、これは約1,400円(+電源が1,000円くらい)で、超お手頃です。
Amazonにも出ていました。400円くらい割高だけど、それでもじゅうぶん安いです。
ゲインが0db以下のプリアンプなので、パワーアンプと組み合わせて使うことになります。(「増幅しないアンプって意味あるの?」って思ったら、「バッファアンプ」で検索してみてください)
完成したら、前に書いたLEPYアンプの前段に入れてみようと思います。
回路図を読んでみる
シンプルな構成のようなので、まずはどんな構造になっているのか読み解いてみたいと思います。
僕はアナログ回路はあんまりわからない勢なので、雰囲気でいってみます。
左側が電源、右側がアンプ部分で分けて描いてくれているので、読みやすいですね。
電源回路
ヒーター用電源
真空管の型番の1桁目はヒーター電圧の整数桁だそうで、6N3のヒーターは6.3Vです。
半波整流回路で直流にしたあと、5Vの三端子レギュレーターにダイオードの下駄を履かせて、6Vを作っているようです。
1N4001の順方向降下電圧は1.1Vのようなので、実際は6.1Vになるのかな?
電源ランプ
整流してLEDを繋いであります。
半波倍圧整流回路
真空管の電源用に±30Vを作っている部分です。 チャージポンプ回路というやつですね、出力は±24Vになる気がするけど、どうなんだろう?
定電流回路?
見た感じ、フィードバック方式の定電流回路のようです。
アンプ回路
すごくシンプルな回路ですね、カソードフォロワーというようで、カソード側(負極側)が出力につながっています。 6N3は2回路入りの真空管なので、左右1回路づつ使ってステレオアンプにしてあります。
真空管前後のカップリング用には、プラスチックフィルムコンデンサーが用意されていて、オーディオ機器感があって良い感じです。
組み立てる
部品は数量ぴったりなので、無くさないように気をつけましょう。
基板にシルクプリントされている通りに部品を刺して、ハンダ付けしていくだけなので、とくに難しいところはありません。
電子工作のセオリー通り、背の低い部品から取り付けていきましょう。
抵抗のカラーコードは、あらかじめ解読して数字をメモっておくと、少し作業がスムースになると思います。
ところどころパターンの広いところがあって放熱してしまうので、ハンダごてが調温式なら少し温度を上げると(300度くらい)作業しやすいと思います。
ちなみに調温式のハンダごては、白光のFX-600がコスパ良く使いやすくおすすめです。
1時間半くらいであっけなく完成してしまって、途中の写真は撮り損ねたので、いきなり完成写真。
電源表示用と真空管のライトアップ用に、オレンジのLEDが2つ用意されてますが、真空管そのものが光る様子にロマンを感じたいので、これらは付けないことにしました。
別途電源トランスが必要なので
さて、このキットには電源が含まれていないので、自分でAV12V 1Aの電源を用意する必要があります。
ちょうど良さそうなトランスが秋月電子で売っていたので、これを使ってみます。
Amazonでも買えます。
タップ6,8,10,12Vのタップが出ています。ヒーター電源こっから取ってもいいかもしれない。
火入れ!
販売ページには0.5Aくらいのヒューズをかませろって書いてあったので、次の週末にヒューズケースを買ってこようと思います。あ、電源スイッチも。
とりあえず不審なところがないか、ささっとチェックしてから、コンセントにつなぐと…
おお!良い、すごく良い!これぞ文明の灯、ロマン! アンプを作っておいて、光ったことに喜ぶってのも変な話ですが、このオレンジ色のぼんやりとした光のなんと美しいことか…。
音出しは後日
さて、見た目には無事動いたようなので、すぐにでも音を鳴らしてみたいところです。
が、その前に、ヒューズやスイッチやIN/OUT端子を付けたりと、まだもう少しやることがあります。
とうわけで、この続きはまた後日。
まとめ
こういうのって自分の手でいじってみると、俄然興味がわいてくるもので、真空管についていろいろ調べはじめました。 動作原理や歴史なんか、知識が深まってくるとより面白みが増しますね、深い沼みを感じます。
あ、いろいろ真空管関連の記事を読み漁っていたところ、真空管アンプの自作についてのアツいエッセイを見かけました。
物作りに対する熱量と、軽妙な文章が相まって、読むだけでワクワクしてきます。
こういうの見ちゃうと、真空管のこと、もうすこし知りたくなってきますね。
いやあ、おもしろい世界を垣間見てしまったなあ!
後編に続く↓