タイトルの意味がわかる方は、一度その罠にハマった経験のある方とお見受けします。
電子ピアノのサステインペダル(ダンパーペダルとも)には、「ノーマルオープン」と「ノーマルクローズ」という2種類の極性があって、メーカーによって、どちらを採用しているかはまちまちです。
ピアノ側、ペダル側とも、極性切り替え機能がある製品もありますが、そうでない場合、対応していない極性のものを繋ぐと動作が逆(ペダルを離すと音が伸びるる)になってしまいます。
今日は、そんな時に役に立つ、スイッチの極性反転回路をご紹介します。
YAMAHAのペダルをCASIOのピアノに使いたい
さて、年末にCASIOの「PX-S1000」という電子ピアノを買いました。
コスパとコンパクトさに強いCASIOのラインナップの中でも、特にその特徴が際立つ機種です。
このピアノには、「SP-3」というサステインペダルが付属しているんですが、筐体が樹脂製で軽いため、踏む時にぴょこぴょこ動いてしまい少し使いづらいです。
※CASIOのが安物というわけではなく、中身のつくりはかなりしっかりしていました。
一方、いままで使っていたYAMAHAのペダル「FC-5」は、金属筐体でほどほどの重みがあり、安定感があって使いやすいので、できればこちらを使いたい。
重さを計ってみると、3倍くらい違います。ああ、どうりで。
スイッチの極性が違った
ここで、例の極性問題が出てくるわけです。 YAMAHAのペダルはノーマルクローズ(B接点)なのに対し、CASIOの電子ピアノはノーマルオープン(A接点)にしか対応していませんでした。
ここで思いつく選択肢は3つです。
- ペダルを買い替える
- スイッチを機械的に改造する
- 電子的に極性を反転する
1は面白くないので除外。
2は製品寿命を縮めるリスクがあるのと、技術的に汎用性がないので除外。
となると、残る3の「電子的に極性を反転する」で行きたいところです。
ピアノとペダルは無改造で済ませたいので、この間に挟めて、A接点とB接点を入れ替えられる回路はあるかな?
回路図
「スイッチ 反転 回路」で検索すると、すぐにドンピシャなのが見つかりました。
これ最高なのが、スイッチ端子に掛かっている電圧を電源として利用するので、実質無電源で使えます。これこそまさに求めていたもの!
回路シミュレータCircuit Simulator Appletで試してみると、なるほど、ちゃんと反転しています。
ピアノ側の端子電圧を計ってみると、約3.3Vだったので、この回路そのまま繋いでしまって大丈夫そうです。
ちなみに、端子は6.3mmの標準フォーンプラグです。
材料
- フォーンプラグ
- フォーンジャック
- 2SA1162(1015代用のPNP型)
- 2SC2712(1815代用のNPN型)
- 抵抗1MΩ
- 配線材10cmくらい(2芯あればなんでもOK)
シンプルな回路なので、表面実装部品を使って、フォーンプラグのカバーの中に収まるように作ります。
ちょっと話がずれますが、最近電子部品のストックを、表面実装タイプに移行してみました。安くて省スペースでかなり良いです。
この記事を参考に、安いプラ試験管をまとめ買いして整理に使っています、大変おすすめです。
「遠沈管」というらしいです。
パーツ配置図
図が汚くてすみません、左が2SA1162(刻印はSG)、右が2SC2712(刻印はLG)です。
組み立てる
あとは、配置図通りにハンダ付けしていくだけ。
こんなもんでしょうか。今回は壊やすい要素がないので気楽です。
フォーンプラグに組み込みます。 配線には、手持ちでちょうど良さそうな太さだったマイクコードを使いました。
念のためカプトンテープで絶縁
完成
そうして出来上がってものがこちら!
カバーにうまく収めることができたので、短い延長ケーブルのような姿になりました。このケーブルをピアノとペダルの間に挟むだけで、スイッチ極性を反転させることができます。
何を作ったのかというと、電子ピアノ用ペダルの極性反転ケーブルでした。
— アツユキ (@aaa_tu) 2021年1月5日
これでCASIOの電子ピアノ(ノーマルオープン)にYAMAHAのペダル(ノーマルクローズ)が使えるゾ! pic.twitter.com/IbsPUtujlW
これは良いものができた!
今回はノーマルクローズ→ノーマルオープンの用途ですが、もちろん逆の場合にも使えます。