さて、しばらく前に家の本棚をLEDで良い感じに光らせるという話を書きました。
この時は数式を使って、リアルタイムで指数変化に補正していましたが、最近もっと簡単な方法を知ったので、書いておきます。
ちなみにこの補正、専門用語ではガンマ補正というそうです。
あとついでに、この方法で女優ミラーを作ったので、その話も少し書いておこうと思います。 kotobank.jp
あらかじめ計算済みの値を入れとけばいい
まあ、そういうことです。フルカラーLEDの「Neopixel」をいじっていた時に、adafruitのドキュメントで知りました。
https://learn.adafruit.com/led-tricks-gamma-correction?view=alllearn.adafruit.com
Arduinoのアナログ出力は、8bitで256段階なので、それくらいならあらかじめ計算した数字を入れとけばいいだろう、というわけですね。
↑のリンク先に、そのテーブルが載っているので、試しにグラフにプロットしてみました。
たしかに、それっぽい形になっています。 カーブの微調整したい時なんかも、Excelで計算して数字だけ持ってくれば良いので、小回りが効いてよさそうです。
ガンマテーブルをスケッチにつっこむ
それで、プログラムにこのテーブル入れておけば良いわけですが、そのまま書くとけっこう大きくて、スケッチを書き込む領域を圧迫してしまいます。
さっきのドキュメントにも書かれていましたが、プログラムと別領域にデータを保存できる、「Flashメモリ」を利用するのが良いです。
使い方は簡単で、const 型 変数名 PROGMEM = 値;
でFlashメモリに格納、使う時はpgm_read_byte(&(変数名))
で呼び出せます。
まあ、スケッチを見てもらったほうが早いですね。
回路図
あ、その前に、今回制御する回路はこんな感じです。 コントローラーには今回も、Digispark廉価クローンを使いました。
要件は
- トグルスイッチで点灯/消灯
- 点灯/消灯のときはフェードイン/アウトする
- つまみを回してガンマ補正付き明るさ調整
- 光源は12VのテープLED
点灯/消灯をフェードさせたいので、スイッチは電源ラインではなくデジタル入力に繋いで、プログラムで制御します。
スケッチ
// ガンマテーブル const int PROGMEM gamma8[] = { 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 2, 3, 3, 3, 3, 3, 3, 3, 4, 4, 4, 4, 4, 5, 5, 5, 5, 6, 6, 6, 6, 7, 7, 7, 7, 8, 8, 8, 9, 9, 9, 10, 10, 10, 11, 11, 11, 12, 12, 13, 13, 13, 14, 14, 15, 15, 16, 16, 17, 17, 18, 18, 19, 19, 20, 20, 21, 21, 22, 22, 23, 24, 24, 25, 25, 26, 27, 27, 28, 29, 29, 30, 31, 32, 32, 33, 34, 35, 35, 36, 37, 38, 39, 39, 40, 41, 42, 43, 44, 45, 46, 47, 48, 49, 50, 50, 51, 52, 54, 55, 56, 57, 58, 59, 60, 61, 62, 63, 64, 66, 67, 68, 69, 70, 72, 73, 74, 75, 77, 78, 79, 81, 82, 83, 85, 86, 87, 89, 90, 92, 93, 95, 96, 98, 99, 101, 102, 104, 105, 107, 109, 110, 112, 114, 115, 117, 119, 120, 122, 124, 126, 127, 129, 131, 133, 135, 137, 138, 140, 142, 144, 146, 148, 150, 152, 154, 156, 158, 160, 162, 164, 167, 169, 171, 173, 175, 177, 180, 182, 184, 186, 189, 191, 193, 196, 198, 200, 203, 205, 208, 210, 213, 215, 218, 220, 223, 225, 228, 231, 233, 236, 239, 241, 244, 247, 249, 252, 255 }; const int light_pin = 1; // LEDテープ const int switch_pin = 0; // スイッチ const int pot_pin = A1; // ボリューム const int max_value = 240; // 明るさのリミッター int value = 0; // 明るさ void setup() { // ピンの初期化 pinMode(light_pin, OUTPUT); pinMode(switch_pin, INPUT_PULLUP); pinMode(pot_pin, INPUT); } void loop() { // ボリュームの値を読み取って、明るさのリミットにする int higher_limit = map(analogRead(pot_pin), 0, 1023, 0, max_value); int lower_limit = !digitalRead(switch_pin) ? 70 : 0; // スイッチ状態によって加減算しつつ、0~limitで拘束 value = !digitalRead(switch_pin) ? constrain(value + 1, lower_limit, higher_limit) : constrain(value - 1, 0, 255); // 明るさをLEDに出力 analogWrite(light_pin, pgm_read_byte(&(gamma8[value]))); delay(3); }
あ、#include <avr/pgmspace.h>
を入れろと書かれていることもありますが、今のバージョンのArduinoでは不要です。
そして洗面台を女優ミラー仕様に
さて、あとはこれを組み立てて、洗面台の鏡に取り付けるだけですが、ついでに光源についても触れておきます。
今回のように肌を照らしたり、食べ物の色を綺麗に見せたい場合、光源を選ぶとき大事なのが「演色性」です。 照らされた物が、どれだけ自然光に近い発色で見えるか? という度合いで、「平均演色評価数(Ra)」で表されます。
蛍光灯やLED照明はだいたいRa60くらいから。Ra80を超えるあたりから高演色、Ra90後半くらいから超高演色と呼ばれるようです。
そんなわけで、ピカリ館のRa98 超高演色 太陽光色(4000k)テープLEDを選んでみました。正直洗面台なんかに使うにはもったいないスペックですが、使います。
ついでに、ディフューズカバー付きのアルミフレームも買っておきました。フレームは45度のコーナータイプ、カバーは半透明を選んでみました。
鏡の縦幅が約40cmだったので、テープもフレームも1mのものをカットして、左右に取り付けることにします。
完成!
そして出来上がったのがこちら。 とりあえず手持ちのスイッチとツマミを付けてみました。
なかなか良い感じになりました。
超高演色LEDがどれくらい高演色だったか? って話は、また今度。